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マッサージ師・武井【自立編】(完) |
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「ふふふ・・・どうせ汚くて給料安くて休みもとれないこのお店、
まともな求人広告を出しても応募してくる奴なんていないわ!
だから私のほうで勝手に選ばせてもらうことにしたの。
気に入った男を見つけたら監禁して死ぬまで強制労働よ。
もともとそのために始めた宗教活動だったでしょ。忘れたの?」
「おーそういえばそうだった!最近忘れっぽくて困るよ。
で、収穫はあったのかい?」
「うーん。昨日来た佃って奴は体力ありそうだからいいかと思ったんだけど
車とラーメンの話しかしないし、5分一緒にいただけで疲れちゃったわ。
いちおう接客業でしょ?私が求めてるのは、我慢強くて愛想がよくて、
こちらの命令どおりに動いてくれるような便利な存在なのよ。」
「そういや、最近入った、あいつはどうだ?
うーん、なんていったっけ、愛想がよくって便利そうで・・・
た、た、武井って奴!あー思い出せてよかった。最近ほんと物忘れ激しくって。」
「武井?ああ、そういえばそんなのもいたかしら。
あんまりデブじゃないけど、いい線いってるわね。」
「すぐにユリカの手に落ちそうだし、いいと思うんだけどな。」
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マッサージ師・武井【自立編】(完) |
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俺は、そういい残して、このユリカ団に入団し、内偵中なのだった。
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「あ〜オムライスって大好き!やっぱりケチャップは山盛りかけなくちゃね〜!
どう?洋ちゃんもおかわりしない?」
ユリカは口の周りにケチャップをくっつけたまま微笑むと、
カウンターの向かい側でビールを飲んでいる洋一を見て首をかしげた。
恰幅のいい洋一が座ると、古いカウンター席はいつも以上に狭く見える。
「おいおいママ、いいから早く口を拭きなよ。 いつもそんな顔して外に出てるから、
みんなユリカママが男の生き血吸ってるなんて噂してるよ!
しかもデブ専で、佃とか酢野田みたいな肉付きのいいやつが大好きだとかさ。」
「デブ専ですって!失礼な!・・まぁ強く否定はしないけど・・・
佃の生き血なんか飲んだら若返るどころか血液ドロドロになっちゃうわよ。
それより、このオムライス美味しいでしょ?今度から定番メニューに加えたいの。
さいきんこの店も経営が苦しいしね〜。
いっそのこと従業員増やしてランチタイムも営業しようかと思ってるわ。」
「たしかにママ一人じゃ大変だからな。
俺はこの店のオーナーだけど、経営のことはママに任せるよ。
どっかに求人広告出したんだっけ?」
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